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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
が赤や金の入った蘭の花のお茶碗と、肥って丸い唐子が子をとろ遊びをしている模様のお汁碗をくれました。そしたら栄さんがやっぱり唐子のついたお茶々わんをくれて、おまけにどうでしょう、私のふだん羽織の裏にやっぱり唐子がいっぱい遊んでいるの。尤もこの方は何年も前のではあるが。大笑いをしてしまった、何か私と連想があるのでしょう。だから来年はくりくりした這い這い人形によだれかけでも呉れるのかもしれないと笑いました。
いつかあなたが、私におくりものとしての言葉をやろうと思うが、豊富すぎて表現しにくいという意味を云っていらしたことがあった。私は私の希望するものをみんなあなたから頂くよろこびと、絶えず其等を貰っていて私がたっぷりしているというみのった感じと、事々に生活の感動をそこへ響き合わしてゆく心持とでは、充分に充分に輝やかしい迄に慾張りです。この点での私たちの慾張りは一つの人間的美にまで近づいている。こまかいものから大きく深いものに到る迄、私はあなたからとっている。この間もね、隆二さんにあなたから誕生日のおくりものとして熱川への小休みを貰ったと云ってやったら、本当にいいおくりものを貰ってよかったとよろこんでくれました。