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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

一月十二日

昔、私は小さい花を一二輪机の上におくのがすきであったが、この頃は花の蔭という風に左手の机の奥に房々とたっぷり花のあるのが好き。私の贅沢。風呂と花とたまの音楽会。二十三日にはゆくつもりだったら日曜日ですね。今年は。それなら二十日にゆこうかしら。

どうかお元気に。乾くから喉をわるくなさらないように。おなかはもう痛まないのでしょうか。では又。皆からよろしく。

(自注1)生活の変化のこと――この年一月から翌年の夏頃まで内務省検閲課の干渉によって中野重治・百合子の作品発表が禁止された。

(自注2)店の方が形つくと――窪川夫妻がコーヒーの店を出そうとしていて、百合子もその仲間に入っているつもりでいた。

一月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(中村研一筆「朝」の絵はがき)〕

一月十二日、岩波の『六法全書』本年(昭一二)版は皆うり切れてしまい、新しい法規を入れたのはもう二三ヵ月後に出ますそうです。どうせ新しいのならその方がよいと思いお待ち願います。『二葉亭四迷全集』の一二は、創作です。待っているのは五六七八になりましょう。これもまだすこし間がある。一筆そのおしらせを。