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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

十二月十八日

そして、その着物がどんなに役に立たないかということについて再三注意して頂いて有難う。これは心からのお礼です。

十二月十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十二月十八日  第八十三信

十六日づけのお手紙をありがとう。十四日にお目にかかって、気が安らかになって、落付いて今日まで休養出来ました。まだハナがぐすぐす云ったり折々せきをしたりしているが、もう大丈夫です。こんどは珍しく、風邪気味になったのは六日の火曜でしたからまる二週間と五日煩わされました。私の風邪としては実に長かった。その代りアラ又ぶりかえしたというような癒りかたでもないけれども。ちょいと盲腸がいやな気味で注意中です。

全く本年の後半は、苦しかったが収穫は少くありませんでした。自発的に総ざらいをして見る気になったし。「伸子」の終りの部分については、元の目白の家でも一寸ふれられたことがありました。覚えていらっしゃるでしょうか。私は、はっきり記憶して居る。あの作品の書かれた当時理解の限度で、同じ質の枠内での移りを、進歩或は成長という風に自分から解釈しているが、それは本当の発展ではないね。