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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
十二月十一日
この雑誌、はじめ「科学主義工業」から出せと云っていて、あと、そちらで断ったら一万五千円の違約料をとった由。
私の風邪は熱朝六度七分、夕方五時ごろから七度五六分。大したことのないくせに気分がさっぱりせず。さっき佐藤夫妻が見舞に来てくれて、エキホスの湿布を胸にしろということになり、そうすると、冷えるといけないから猶床に入っていなくてはならないから一筆。
明日はこれではあやしい様子です。さっさと熱を出すなら出して、汗かいて、さらりとしてしまえばよいのに。
火曜あたりから怪しかったから、やっぱり一週間かかるつもりかしら。栄さん二十日、さち子一週間、鶴さん無慮一ヵ月以上です。きょうの予定は、湯気を立ててある二階の部屋は出ないで、折々は起きようと思っていましたが、駄目ね。
余りひどく悪くないくせに、臥ているのは却って気がもめる如くです。明月曜はもしかしたら栄さん、午後に行って貰うかもしれません。来てくれれば。咲枝は兄の一馬(カズマ)が、やっとお嫁さん貰うので(35歳)その仕度のため、(郵船のある横浜へ家をもつので)出かけて大さわぎをやっていて、迚もその気にはなれないから。