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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
五月十五日
今日において価の出ていない株に価の出る可能はなかなかないことを私は常識から昨日もおばさんにお話ししました。母子ぐるみで株に気をとられたら、その結果はどんなになるかということを、私は遠慮なく申したので小母さんも涙を出して傾聴していらした。商売として考えず、儲け儲けとしてあせるからどうにもなりません。富雄さんはどんなに儲けようとどんなに損をしようとも冨美ちゃんと小母さんとの生活は地道に立ってゆくように計画して、そのような野原がひらけるなら又手頃な小店でもやってきっちりなさるよう申しました。
私はこちらに十四五日頃までいるつもりです。目白はひさとその友達で留守番をして居ります。きのうは組合のひとが出発のあとで一杯やる、そのお給仕をしました。明日は恵比寿講とかがある由。どういうのかよくまだ分らず。何か組合仲間だけのもので三ヵ月に一度ずつあるらしい。お店には今様々の肥料が一杯つまっています。では又、お体はずっと順調でしょう? 呉々もお大切に。
五月十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕
五月十四日 島田からの第二信 第二十三位?
きょうは南がきつく吹いている日です。