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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
七月二十三日
舞子のところ住吉のところなど、線路のところへ山が岩と松とをのせて流れ出したようで砂土の丘が出来ている。
六甲の麓の金持の別荘地帯は、八畳じきぐらいの岩がたたまり落ちて家屋を埋め、地盤はその上から新しくかためなおさねばならぬ。
布引のダムに山から流れた木や岩がつまってそれがあふれ(布引貯水池が決潰した水)大惨害となったのだそうです。六甲を植林せず、ゴルフリンクや何々ガーデンと土一升金一升にやったばちの由。急行は最徐行で通り、復旧の困難さがよく分りました。ひろい範囲ですし、仕事が人の手でやるしかない種類なので。
浴衣あれを着ていらっしゃるうちに白い絣と薄いものとをのりをつけてお送りします、隆ちゃんは浴衣にのりのついたのが嫌いだそうです。貴方は召しましたね。その方がさっぱりするから。夏のかけもの月曜にお送りします、ボタンたっぷりつけました。どうかおなかを呉々大事に願います。去年から見ると然し何という好成績でしょう! では又近々に又
七月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
七月二十三日 第三十七信
やっと盛夏らしい空気と日光になりました。暑くてもカラリとして風があると爽快です。