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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
父はよく如来さんのものを買ったりしたらしい。
さて、二十四日にその葬儀が終り、二十五日は疲れ休みで、丸善へジョーンズの発音辞典を買いがてら許可をとりにゆき、きのう二十六日に行くつもりだったらほんの一寸のことでおくれて、到頭あした迄のびてしまいました。ああ悲観した、フウ! と云っていたところ今朝お手紙で、随分うれしかった。
葬式が団子坂のお寺だったので、かえりに林町へよったら、国男へ本を送って下すったのが丁度届きました。テーブルのあのひとの席にちゃんと飾っておいて、わきから首をのばして開けるのを待って見たら、あれはいい本です。欲しいと思っていたし、国男の常識をひろくするによい本だから、およみなさい、きっとおよみなさいと申しました。この著者の『数学教育史』も面白いでしょう。寿江子についてもありがとう。私はこの子をすこしたすけてやって音楽史の仕事をまとめさせてやろうという計画があります。音楽史らしいものは殆どないのだから。島田へ送る本のこと、承知いたしました。
住居のことなど、なかなか動けません。栄さんと共同にやることは不可能ときまりましたし林町の裏は、私として、寿江子の家を無いようにして自分が住むということは出来ませんし。