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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
母親は、こういう子だからと見限ってしまわず、愈※(二の字点、1-2-22)こういう子なのだからと愛情の故に砕身する。それに似ているところがあります。而も夫婦であるということは、永い年月の間に同化している点も生じているのだから、その努力の尽大・多面なことと云ったら。深い危険が横わっていることと云ったら。
仕方がないという低いところで元に戻られたのでは、健全な友情を保ってゆく土台を失ったことだから、と大変苦しかった。今日新たに生活を建て直そうとしている足がかりがわかって、私はその努力を真心からの同情と理解とをもって見守ろうと思います。ああいう場合、絶望から虚無的になるのを防ぎ、対手に対して皮肉に辛辣にならず、つきはなしてしまわない、自分たちの生活というものに対する熱心さ、情愛というものを、私は或点感服します。良人である人は、性格として主観的で、自己耽溺で、対人・対世間関係の理解において(のし出す・のし出さない、認められる・られない、について)俗的面と、弱さから来る妻や友人への僻み、がむしゃらな自己防衛(防衛しているつもりで、立っている舞台ごと奈落へずりこむような)をもっている。