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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

十月二十八日

十月二十八日  第六十六信

さて、この手紙はいろいろ周囲のことを主として。

友達と呼び得る範囲につきあっているのは栄さん夫婦、戸塚の夫妻、中野さんたちぐらいです。然し最後の一組は細君が劇関係故いろいろちがうし、何しろ世田ヶ谷故滅多に会わない。うちで御飯をたべるようなこと(互の家で)も一年にかぞえる位しかない。栄さんは、私たちのああいうこまごました本のこと、身のまわりのこと(私などはよごれた着物を洗って迄もらいました)日常生活の家事的なことまで、栄さん一流の智恵をかりてたすけられている、いろんな話も率直に、深い信頼をもって互にしている。文学の話もわかります、この頃はあのひと自身独特な小説をかいている位だから。

でも、文学についてその他について、あちらが受け身である、それは自然の結果。上落合の時代は、私はひとりぼっち家をもっていたから、毎日毎日世話になった。只今ではすこし遠方になりましたし、良人が勤人だから細君としての用が多くて、そうちょくちょくは会いません。一週に一遍ぐらい会わないと、互に気にかかる、そういう塩梅。

戸塚の細君の方は、御存知の通り。