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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
野原の方も冨美ちゃんが三月二十七・八日頃女学校の入学試験です。入ったら本を二三冊と万年筆をお祝いにやろうと思って居ります。あちらももう一周忌です。何かお供えの品をお送りしようと考え中です。
一昨夜やっと大観堂へ出かけました、宿題を果すために。そしたら、お金をお送りになっているのが一寸見当らず。ともかく『真実一路』と本庄氏の『日本社会史』を店からお送りします。土屋氏の本は手元になく、本庄氏の『農村社会史』という方は大観堂目録にない様子です。近日中に行ってもう一度しらべます。
丸善の方もちゃんと命じました。松山高校へも出しました。私のやりかたは可笑しくてすぐやってしまう分はいつもちゃんちゃん行って、一遍落すとなかなか落しっぱなしになってしまう。そちらでは、落された部分が却っていつも気になるのが自分の経験でわかっているのに。あなたの忍耐を、私までためさないでいいのに、御免なさい。毛布と着物と二包みにして送り出しました。着物はすこし寸法が短い目に仕立ててあります。でもあれは私たちのお気に入りの紺の方ではないから、まああれで一通り召して下さい。毛布はすこし毛のうすくなっているところもあるが。