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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

お見舞本当にありがとう。特に最後の一句は、顔と体とがポーと熱くなるような感じで頂きました。それは、わかって居ます。そういう場面を想像すると、嬉しく、そしてすこし極りがわるい。私は自分の病気については、実に誇れないと思っているから。反対に、位置をかえた互の姿において想像すると、やっぱり平静に思い描くことは出来ない。どんなに私はあらゆる種類の薬をかたむけて、あなたに注ごうと熱中することでしょう。私は決してわるい看護婦ではありませんから。

さて、きのうは、濛々たる砂塵も車のおかげで無事に、かえりました。ちっとも熱も出ず、昨夜は初めてずっと六度八分で、大層気分よく、安眠しました。今朝も六・五です。平常は、時に眠りの足りない気分のときもあります。自然のことながら、床に入ってすぐ眠らず、益※(二の字点、1-2-22)頭脳活溌というときもありますから。でも、十時以前には、もう迚も風邪ででもなければ床につけず、朝おそくなるまいとするし、夜眠れないのがいやで昼寝せず。この間うちのように日中歩きまわる用の方が多いと、くたびれかたが、机に向っての一日と異って、眠る時間はややすくなめでももつらしい様子です。