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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
大馬というのは仲英だけの名ではないのだそうです、スノウによれば。馬一族を称す。そして、回教の中に新旧が分裂を生じている。新は南京からの討伐をともに受けた。旧が白ロシア人をやとって市を防衛した例でしょう。探険家にそういう事情がわかっていないらしい風です。でもあの年でああいう旅行に堪えることはうらやましい。きっと盲腸なんか切ってあるのでしょうね。しみじみそう思った。お笑いになるでしょうけれど。
『世界名著解題』は第三巻まで順次出る由です。あれは第一巻。いかがですか。あってよい本の部ですか?
富雄さんに何を送ったらよいかしら。経済事情の推移の分るものがよいでしょうね。考えておきます、暮から正月にかけてよむように送りましょう。
繁治さんはあの日出かけなかった模様です。従って十四日以後はそちら些か御閑散でしたね。
お正月並に外出用の冬着を一組近日中にお送りいたします。お正月に行ったら、どうぞ、それを着て見せて頂戴。栄さんのお年玉というのは、その羽織についている紐です。皆によくお礼は申します。栄さんの編んでくれた毛糸の衿巻というのもお正月になったらお目にかけます。