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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
この手紙着くのはお正月の一番はじめの分でしょうが、やっぱりおめでとうは早すぎる気がしてまだ書けず。
二十八日には惜しいことでした。寿江子がすっかり容態書をかいて用事をかいて出かけたのですが、十二時すこしすぎそちらへ着きました。そしたら二十八日は午前十一時までだったの。それを気付かず、二十八日をと日ばかり一心に見て来ていたものだから駄目。失敗しちゃったと悄気てかえって来たので、私もがっかりしたし、一番終りの日様子もわからず歳越しをおさせするのはどうも辛抱出来なかったので、もう一遍行って貰い、特別に面会を許可されるよう願いましたがやはりもう人手がなくて駄目で、様子だけはつたえて下さるとのことで書いておいて来たそうです。わかりましたろうか、本当にわるかった。きっと待っていらしたに相違ないのですから。
二十六日に化膿しかけているのではないかという心配がありましたが、二十八日傷からしみ出しているのが漿液とわかり、糸を切ってその水をよくとったらば熱もすっかり下り二十九日は一日六度台(朝6度夜八時六・九)、きょうは朝五・九で今六・一です。大体はじめから熱は低かった。