轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

それは、遠い雷の音に、キ、キ、キ、キ、キーイ、というような音や、ギ、ギ、ギ、ギ、ギッというような音の入りまじった無気味な音だった。

それに――。

狭い食堂と、食堂からかぎの手に折れ曲った賄場にしみついた、むかむかするような脂ぎった臭い、もののすえたような臭いが、船内を流れているしめっぽい、得体の知れない風にのって強く鼻を刺すのが、たまらなかった。

「途中でへたばったって知らないぜ」

平林大尉が、そういっているように思われた。

「なに糞っ!」

英夫は、心の中で叫んで目をつぶった。すると、気持がいくらか楽になり、夜が明けはなれるまでに、うとうとといくらか眠れたような気がした。

――カンカン、カンカン――と、つづけさまに鳴りひびいた鐘の音で目をさましたのか、それとも、どやどや食堂に入って来た人の気配で目をさましたのか……気がつくと、青いうすあかりが、室内にさしていて、船員たちが、がやがや話しあいながら朝飯を食っていた。

日本人の船員はほんのわずかだった。支那人や、インド人が、何かわめきあいながら急いで食事をすましては出て行った。

ゆうべ乗りこんだ時、船長が、一ととおり船内を案内しながら、五十人ほどの船員に英夫をひきあわしているので、なかには朝の挨拶のかわりににこにこ笑いかけている者もいた。