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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

旦斎の発見

書面の文字は、途中で万一、奪われても差支えのないように、わざとわかりにくいものにしてあった。

使いの武士は、ながい年月を費して、ようやく日本へたどりつくことが出来た。が、その人は上陸してから間もなく無残な最期をとげ、書面は行方が知れなくなってしまったのだった。

旦斎の発見

今から三百年ほど前、園部旦斎という学者が、偶然、江戸(東京)で、その書面を手に入れることになった。旦斎は、東北のある藩の儒者――殿様に漢学を教えていた学者だった。

「先生、珍らしいものが手に入りましたが」

ある日、出入りの骨董屋が、旦斎の前に、見なれない細工をしてある、小箱を一つ差出した。

旦斎は、ひさしぶりで、殿様のお供で江戸(東京)へ出て来ていた。江戸へ出て来ると古本や、骨董をあさるのが、旦斎の何よりのたのしみだった。

「キリシタン、バテレンは御免だぞ」

「とんでもない、そんなもんじゃあございません、実は、あっしどもにもわからない品なんで、先生なら、ひょっとして、おわかりだろうと持って上ったわけなんで……」

「ふむ、なるほど、これあ、南蛮ものとも違うようだな……」

旦斎は、いつもの癖で、小箱をとりあげると、すかしてみたり、叩いてみたり、いろいろと調べだした。