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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
四つの人影
新らしい不安が、二人の胸にわいて来た。
南支那海はもちろん、世界の七つの海のどんなところへもおそれずに行く日本の漁船は、南洋の海の思いがけないところに、ひょっくりといることがある。と、英夫は聞かされていたが、大東亜戦争では、太平洋も戦場になり、このあたりは、いわば戦場の中心になっている。勇敢な日本の漁船も今は母国のためにたたかっているはずだった。それだけに、こんな無人島へ立寄ることなどはあり得ないのだ。すると、英夫たちの救われる機会もないのだろうか!
せっかく、兄と将軍の好意でかなえてもらった英夫の念願も、叔父さんに会う祥子の喜びもみんな絶望になってしまうのだ!
椰子の葉が、そよ風にさやさやと鳴っている。
英夫も、祥子も、いつの間にかうとうとと寝入ってしまった。
四つの人影
聞きなれない人の話し声で、英夫は目をさました。
満天の星は、やはり降るように、ふるえながら瞬いている。椰子の葉が腕を振るようにゆらめいている。海の香がしずかなあたたかい夜気に運ばれてにおっていた。
しーんとした、その星月夜の中で、人の話している声が聞えるのだ。
英夫は、夢を見ていたのかと思った。