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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
無電奪取
「は、異状ありません」
「誰か乗って来た形跡はないか」
「一応点検しましたが、そんな形跡もありません」
「誰か途中でボートを奪って入りこんでいるとすれば、一大事ですが、おそらくボートの故障じゃないかと思います、ジョンソン大尉の安否をたしかめてみればわかるでしょう」
幕僚長がいった。
「宜しい、ジョンソン大尉を捜索し、なお要塞内を綿密に点検するがよい」
士官が出て行くと、司令官が立上った。
「では、命令するが、幕僚長は直ちに全員に戦闘準備をととのえて待機の命令を出す、趙はさらに諜報網に連絡して、日本艦隊の行動を精密に諜報せよ、技師長は、予定の工事を全力をあげて進行し、第二段の戦闘に備える――命令おわり!」
皆が司令官に向って敬礼した。
海底要塞は、日本の艦隊と、輸送船団に最初の大打撃を与えるべく必死の戦闘準備を開始したのだ。
無電奪取
五階へ通ずる階段を、こつこつと機械人間が上って行った。
無電室の扉の前まで来ると、ぐるりと一とまわりあたりを見まわして、しずかに、こつこつと扉を叩いた。
「入れ!」
中から、鼻にかかった声が聞えた。
若い中尉と、赤ら顔の男に代った、二人の要塞員がレシーバーを耳にあてたまま熱心に受信機から流れ出る紙片を見つめていた。