轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

ほら君も知っている謙一兄さんがシンガポールにいるんだよ」

祥子は、どうして密航などをしようとしたか、あらまし話して聞かせた――。

東北の田舎で、母親に死に別れ、たった一人になった祥子は、マレーにいる叔父をたよって行く決心をした。

ようやく、上海まで辿りつくと、すぐ大東亜戦争がはじまって、上海から先へ行くことが出来なくなった。

そのうちに僅かばかりの旅費もなくなり、どうしてマレーまで行っていいのか、すっかり途方に暮れてしまった。

すると、上海の波止場で、一人の支那人と知りあいになった。――上海から香港までの間を往来しているジャンクの船頭だった。その男にたのんでジャンクに乗せてもらい、香港に渡った。

ジャンクの船頭は、香港で、趙という仲間の者に祥子を紹介してくれた。

趙は祥子に、ほんのちょっとした仕事を手伝ってくれるだけでいいという約束で密航をひきうけた。

香山飯店へ連れて行かれたのは、その手筈をきめるためだったのだ。

あの無気味な地下室のある、香山飯店のおやじは、前から買収してあったらしい苦力をつかって、祥子と一つのトランクを箱の中にしのばせ、首尾よく九竜丸の船艙に運びこんだのである。