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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

時計爆弾

祥子はだんだんおそろしくなって来た。

朝になって、いくらか明るくなったら、トランクの中味だけでも調べておこうと思った。

そのうちに、祥子は眠ってしまった。

英夫が階段を上って来た時、祥子はようやく箱の蓋を金槌でこじあけて、下り立ったばかりの時だった。電灯がともされ、足音がしたので、しばらく息を殺して様子をうかがっていた。

はじめ、趙ともう一人の支那人かと思ったが、それとも違うらしいので、英夫が例の扉を調べている間に、そっとのぞいて見ようとして、見つかってしまったのだった。

「それで、ゆうべの事件もすっかりわかった!」

英夫が叫んだ。

「えっ! ゆうべの事件――て、英夫さん、あの支那人たちのこと知ってましたの?」

時計爆弾

ゆうべ英夫が見た、怪しい人影は、この船艙から水をくみに来た、王だったのだ。

それにしても、趙や王の一味はどういう素性の人間なのだろうか? 第一ここへ自由に出入りすることが出来るとすれば、宮崎運転士しか持っていないはずの船艙の鍵をどこで手に入れたのだろう? この船の中で、どういうことをしようとしているのか? 祥子を船の中へ忍びこませたのも、親切気からばかりだとは思われなかった。