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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
広いところで直径一キロもあろうか、ところどころに椰子の樹が数本ずつ生えているだけの珊瑚礁で、一方の切り立った岩の上には、おびただしい海鳥が群がり、けたたましい鳴き声をあげていた。
べつに人の住んでいる気配もなかった。
「ここは一体、どのへんなんでしょう?」
「それがどこだかわからないんだ」
「もし、どこの国の領土でもなかったら、大発見ね」
「そしたら日本の領土にしてしまうさ」
岩角を曲って、二人の上陸した砂浜へ出ようとした時、祥子が、
「あら!」
と、叫んだ。
黒く突き出た岩礁の間に、漂い寄ったものを見つけたからだった。――ブリキの石油缶や空壜や板きれが、岩礁の間に漂っていた。難破船のいたましいかたみの品なのであろう。ことによると、九竜丸の残骸もその中にまじっているのかも知れなかった。
さしあたり、食べものを探さなければならなかったが、何もないので、貝と、岩についた海藻を集めることにした。
何か入っていそうな気がしたので、例の石油缶や、そのほかの使えそうなものも引き上げておいた。
石油缶はひどく錆びて、いびつになっていた。
「石油だと大助かりなんだけどなあ」