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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

「おかしいなあ、急にとまってしまったけど、故障をおこしたのかな」

「ここは水の上らしいわ、窓の外が、あんなに明るくなってるんですもの」

「だって、いまは夜のはずじゃないか、いくら星月夜でもそんなに明るいはずはないよ……」

扉に近寄って見ると、さっき潜航をはじめた時には、固く閉っていたはずの扉が、今は何の抵抗もなく、やすやすと開いた。

目の前にひらけた様子があまり変っているので、二人ともあっけにとられてしまった。

敵の手をのがれて、これから自由な行動がとれるとばかり思っていたのに、二人が入りこんだのは、敵の秘密の根拠地――おそらく海底に築かれている要塞らしかった。

――ひょっとすると、あの秘密の根拠地というのがここだったんだ!

咄嗟に英夫の頭に閃めいて来たのは、平林大尉が、あらゆる方法で探し出そうとしている敵の秘密の根拠地は、きっとこんなところに違いない! ということだった。

――よし、突進しよう、敵に気づかれないように、この秘密を探り出して、平林大尉に教えて上げよう、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」だ!

英夫は胸がわくわくとおどった。

「大へんなところへとびこんでしまったよ」