轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
「珍しくはねえさ」と伊助が独り言のようにぼそぼそと云った、「めいめいが云ったらきりもねえ話だ、世間てえものはそういう仕組みにできてるもんさ、珍しくはねえよ」
「それがさ、当人にはそうじゃないんだな」と与平が云った、「火傷の痛みは火傷をしてみないとわからないらしいし、人によってその痛みも違うらしいんだな、おてんとさまの昇るのを見て胆をつぶすことさえあるんですから」
栄二は心が萎えるように感じた。ご一や伊助がどんなひどいめにあったかは聞くまでもない、男ざかりともいうべきとしで、かれらはもう世間にも、自分の将来にもみきりをつけている。かれらをこんなにも打ちのめすようなからくりが「世の中」を動かしているのだろうか、なんとかいう名奉行は、罪を憎んで人を憎まずと云ったそうであるが、与平が妻を殺そうとしたとき、罪はどちらにあるのか、妻を殺そうとした与平か、それとも与平をそんな気持にさせた妻にあるのか。この寄場は牢ではないと云い、その扱いも牢にいる罪人とは慥かに違うが、いずれにせよ、世間から隔離されるだけの理由があった。自分は一枚の金襴によって、無実の罪に問われ、誰がそんなことをしたか、はっきりさせようとして逆に暴行され、ついにこんなところへ送り込まれた。