轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
「出てきたんだ」と和助は云った、「みつけたのは旦那。袋はおめえのものだったそうだ、まさか綿文の旦那ともある人が、そんな嘘をつく筈はねえだろう」
栄二は黙った。いま笑った口をひきしめ、和助の顔をさぐるようにみつめて、深く、大きく息を吸い、その息を少しずつゆっくりと吐きだした。
「すると、あっしがその切をぬすんで、袋の中へ入れといたっていうんですか」
「小舟町の親方がゆうべ呼ばれて、これだけの話を聞いた、そして、よそへは決してもらさないが、出入りは止めると云われた」
栄二はなにか云いかけたが、和助は手をあげてそれを制止し、まあ聞けといって続けた、「――親方は小舟町へ帰って考え、おかみさんに相談した、おめえがそんなことをしようとは信じられねえ、なにかの間違いだろうと話しあっているうちに、七年か八年まえのことがでてきた」
「七年か八年まえのことって」
「思いだしてみろ」と和助が声を低くして云った、「――おれもすっかり忘れていたが、親方の手紙を読んで思いだしたぜ」
栄二は暫くけげんそうな顔をしていたが、やがて、とつぜん平手打ちでもくったように、大きく眼をみはり、あと口をあいた。