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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

六

敵の飢餓してくるほど、そこの危険は増しましょう」

と、大いに袁紹へ注意するところがあった。

烏巣、都の地には、河北軍の生命をつなぐ穀倉がある。いわれてみるとなおさら袁紹は心安からぬ気がしてきたので、審配をそこへ派遣して、兵糧の点検を命じ、同時に淳于瓊を大将として、およそ二万余騎を、穀倉守備軍として急派した。

この淳于瓊というのは、生来の大酒家で、躁狂広言のくせがある人物だったから、その下に部将としてついて行った呂威、韓筥子、元などは、

「また失態をやりださねばよいが」と、内心不安を抱いていた。

けれど烏巣そのものの地は天嶮の要害であった。それに安心したか、果たして、淳于瓊は毎日、部下をあつめて飲んでばかりいた。

六

ここに、袁紹の軍のうちに、許攸という一将校がいた。年はもう相当な年配だが、掘子軍の一組頭だったり、平常は中隊長格ぐらいで、戦功もあがらず、不遇なほうであった。

この許攸が、不遇な原因は、ほかにもあった。

彼は曹操と同郷の生れだから、あまり重用すると、危険だとみられていたのである。

酒を飲んだ時か何かの折に、彼自身の口から、

「おれは、子供の頃から、曹操とはよく知っている。