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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
その後、長男の袁譚は、甘陵、安平、渤海、河間(河北省)などの諸地方を荒らして、追々、兵力をあつめ、三男袁尚が中山(河北省・保定)にいたのを攻めて、これを奪った。
袁尚は中山から逃げて、幽州へ去った。ここに二男袁煕がいたので、二弟合流して長兄を防ぐ一面、
「亡父の領地を奪りかえさねば」と、弓矢を研いで、冀州の曹操を遠くうかがっていた。
曹操は、それを知って、試みに袁譚を招いた。袁譚は気味悪がって、再三の招きにもかかわらず出向かずにいた。
口実ができた。――曹操はすぐ断交の書を送って、大軍をさし向けた。袁譚は怖れて、たちまち中山も捨て平原も捨て、ついに劉表へ使いを送って、
「急を救い給われ」と、彼の義心を仰いだ。
劉表は、使いを返してから、玄徳にこれを計った。玄徳は、袁兄弟がみな、日ならずして曹操に征伐される運命にある旨を予言して、
「まあ、見て見ぬ振りしておいでなさい。他人事よりは、ご自身の国防は大丈夫ですか」
と、注意をうながした。
三
荊州へ頼ろうとしたが、劉表から態よく拒否された袁譚は、ぜひなく南皮(河北省南皮)へ落ちて行った。
建安十年の正月。曹操の大軍は氷河雪原を越えて、ここに迫った。