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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

玄徳は、鞍からおりて、

「そんなにお気に召したものなら、献上いたしましょう」と自ら口輪をとって進めた。

劉表はよろこんで受けた。すぐ乗換えて城中へ帰ってくると、門側に立っていた越という者が、

「おやッ、的盧だ」と、つぶやいた。

劉表が聞きとがめて、

「越、なにをおどろくか」

と、たずねた。※(「萠+りっとう」、第3水準1-91-14)越は拝伏して、理由をのべた。

「私の兄は、馬相を見ることの名人でした。ですから自然、馬相について教わっていましたが、四本の脚が、みな白いのを四白といい、これも凶馬とされていますが、額に白点のある的盧は、もっと凶いといわれています。それを乗用する者に、必ず祟りをなすと古来から忌まれているもので、ために、張虎もこの馬に乗って討死しました」

「……ふウむ?」

劉表はいやな顔してそのまま内門深く通ってしまった。

次の日。酒宴の席で、彼は玄徳に杯を与えながらいった。

「きのうは、心にもない無心をした。あの名馬は、ご辺に返そう。城中の厩に置かれるよりは、君の如き雄材に、常に愛用されていたほうが、馬もきっと本望だろうから」

と、さり気なく、心の負担を返してから、彼はまた、