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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
二
これによって、以後苗字をあらため、一層志を磨き、疎巾単衣、ただ一剣を帯びて諸国をあるき、識者につき、先輩に学び、浪々幾年かのあげく、司馬徽の門を叩き、司馬徽をめぐる風流研学の徒と交わっているものと聞きおよんでおりました。――その人は、すなわち潁上の産れ徐庶字は元直――単福とは、世をしのぶ一時の変名にすぎません」
二
徐庶の生い立ちを物語って、程※(「日/立」、第3水準1-85-21)のはなしは、まことにつまびらかであった。曹操は、それの終るのを待ちかねていたように、すぐ畳みかけて質問した。
「では、単福というのは、徐庶の仮名であったか」
「そうです、穎上の徐庶といえば、知る人も多いでしょうが、単福では、知る者もありますまい」
「聞けば聞くほど、ゆかしいもの。士道――借問するが、程※(「日/立」、第3水準1-85-21)、そちの才智と徐庶とを比較したら、どういえるか」
「到底、それがしの如きは、徐庶の足もとにも及びません」
「謙遜ではないのか」
「徐庶の人物、才識、その修業を十のものとして、たとえるならば、それがしの天稟はその二ぐらいにしか当りますまい」
「ウーム。