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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
五
いわんや、あの人も、そう丈夫な体でもないし、限りのある生命と知れている人間ではありませんか。……はははは」
五
玄徳は終始、つつしんで聞いていたが、崔州平のことばが終ると、
「ご高教、まことにかたじけない」と、ふかく謝して、
「――時に、今日は思いがけないお教えをうけ、一つの幸いであったが、ただ孔明に会えずに帰ることだけは、何とも残念に心得る。もしや、彼の行く先を、ご存じあるまいか」
と、話を戻してたずねた。
「いや実は、私もこれから孔明の家を訪ねようと思って、これまで来たところです。留守とあれば、自分も帰るしかありません」と、崔州平は腰をあげた。
玄徳も共に起ち上がりながら、
「如何です、玄徳と共に、新野へ来ませんか。なおいろいろ貴公について、善言を伺いたいと思うが」と、誘った。
崔州平は、かぶりを振って、
「山野の一儒生、もとより世上に名利を求める気はありません。ご縁があればまた会いましょう」
と、長揖して立ち去った。
玄徳も馬に乗って、やがて臥龍の岡をうしろに帰った。
途中、関羽は、玄徳のそばへ駒を寄せてそっと訊ねた。
「最前の隠士がいった治乱の説を君には真理と思し召すか?」