轻松读懂日语经典作品
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
町の方は本の絵で見たきりです。でも山と海は知って居ります。窓から見えるのです。山は土が高く重なった様なものですし、海は青くなったり白く光ったりする真直ぐな長いものです。それがすっかり水なのだそうです。みんな助八さんに教えてもらいました。
四歳か五歳かの時を思い出して見ますと、今よりはよっぽど楽しかった様に思われます。何も知らなんだからでしょう。その時分には、助八さんやおとしさんはいないで、おくみというお婆さんがいました。皆片輪者です。この人がひょっとしたら母ではないかと、よく考えて見ますが、乳もなかったし、どうもそんな気がしません。ちっともやさしい人ではなかった様です。でもあまり小さい時分だったので、よく分りません。顔や身体の形も知りません。あとで名前を聞いて覚えている位です。
その人が時々私を遊ばせてくれました。お菓子やご飯もたべさせてくれました。物を云うことも教えてくれました。私は毎日、壁を伝って歩き廻ったり、蒲団の上によじ登ったり、おもちゃの石や貝や木切れで遊んだりして、よくキャッキャと笑っていた様に覚えて居ります。アア、あの時分はよかった。