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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页

青空文庫

諸戸道雄の告白

「だけど、これは内証だよ。お前丈けに話すんだよ。だからね、お前も内証にして置かないと、ひどい目に合わされるよ。箱詰めにされっちまうよ。箱詰めにされたって俺ぁ知らないよ」

一寸法師は、さもさも怖わそうな表情で、附加えた。北川刑事が、お上の威力を借りず、少しも相手に感づかせぬ穏和な方法によって、「お父つぁん」という人物の正体をつきとめ、ある島に行われていた想像を絶した犯罪事件を探り出したのは、それから更に十数日の後であったが、それはお話が進むに従って、自然読者に分って来ることだから、ここでは、警察の方でも、こうして、特志なる一刑事の苦心によって、曲馬団の方面から探偵の歩を進めていたことを読者にお知らせするに止め、北川刑事の探偵談はこれで打切り、話を元に戻して、諸戸と私との其後の行動を書き続けることにする。

諸戸道雄の告白

神田の洋食屋の二階で、不気味な日記帳を読んだ翌日、私は約束に従って池袋の諸戸の家を訪ねた。諸戸の方でも、私を待ち受けていたと見え、書生がすぐ様例の応接間へ通した。

諸戸は室の窓や扉を凡て開けはなして、「こうして置けば立聞きも出来まい」