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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页

青空文庫

三日間

だが、それと同時に、何ということだ。この私も亦、ハッと顔を赤らめて、思わず目をそらしたのである。私は愚かにも、双生児の娘の異様なる美しさに、不意を撃たれて、つい胸を躍らせたのであった。

三日間

諸戸の想像した通りだとすれば、彼の父の丈五郎は、その身体の醜さに輪をかけた鬼畜である。世に比類なき極重悪人である。悪業成就の為には恩愛の情なぞを顧る暇はないであろう。又道雄の方でも、已に度々述べた様に、決して父を父とは思っていない。父の罪業をあばこうとさえしている。この世の常ならぬ親子が、一つ家に顔を見合わせていたのだから、遂にあの様な恐ろしい破綻が来たというのは、誠に当然のことであった。

平穏な日は、我々が島に到着してから、たった三日間であった。四日目には私と諸戸とはもう口を利くことさえ叶わぬ状態になっていた。そして、その同じ日、岩屋島の住民が二人、悪鬼の呪いにかかって、例の人食いの洞穴、魔の淵の藻屑と消える様な悲惨事さえ起った。

だがその平穏無事な三日間にも、記すべき事柄がなかったのではない。

その一つは、土蔵の中の双生児についてである。私が諸戸屋敷に最初の夜を過した翌朝、土蔵の窓の双生児を垣間見て、その一方の女性(つまり日記にあった秀ちゃん)の美貌にうたれたことは前章に記した通りだが、異様なる環境がこの片輪