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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

対手が差配さんなり、稲荷は店請の義理があるから、てッきり剣呑みと思ったそうで、家主の蕎麦屋から配って来た、引越の蒸籠のようだ、唯今あけます、とほうほうの体で引退ったんで。これで、鳧がつけば、今時ここらをうろつくこともないんですが、名は体を顕しますよ。

止せば可いに、この貧乏くじをまた自分で買って出たのが、こけ勘なんでさ。

(先晩の麁忽は、不残手前でございます。愛吉さんは宵から寝ていて何にも知りやしねえもんですから、申訳のために手前が身体を退きます。)ッて、言ったでしょう。

差配の癖に、近所じゃ、掛売を厭がるほど、評判の工面の悪い親仁だからねえ、これをまたのみこむ奴でさ。

(貴様は何だ、おらがの内の、汽車ぎらいな婆さんを積込んで、小火のあった日から泊りがけに成田へ行っていた男だけれど、申訳を脊負って立って、床屋を退散に及ぶというなら、可々心得た。御近所へ義理は済む。)

と、くだらねえじゃありませんか。

何だって意固地な奴等、放火盗賊、ちょッくらもち、掏摸の兄哥、三枚目のゆすりの肩を持つんでしょう。

どうです、おかみさん、そういった奴ですからね、どうせ碌なこッちゃ来やしません。