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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

十九

行って見ましょうッて、お嬢さんをおさそい申して、不断のまんま、ぶらぶら片陰になって出かけたんですよ。

袴を召した姉さん方が、フンといってお通んなさる。何だか背が見られる処を、小児衆が大勢で、やあ、狐の嫁入だって、ばらばら石を投げたろうじゃありませんか。お顔もお頭も、容赦なんざないんですから、お嬢さんは日傘のまま路傍へおしゃがみなさる。私はね、前からお抱き申して立ってましたがね。

そら、傘に化けた、というと、ろくろへポンポン当るから、気がついて、私が取ってね、すぼめて帯へさしたんです。騒ぎは、それで静まりましたけれども、その時黒子一つないお身体へ、疵がついたろうじゃありませんか。」

十九

お夏は袖をくるりと白く、

「こんなよ、愛吉。」

いわれたその二の腕の不審紙。色の褪せたのに歯を噛んで、裾に火の粉も知らずに寝た、愛吉が、さも痛そうに、身ぶるいした。

三人斉しく憮然とせり。

女房しめやかに口を開き、

「ですからさ、時節ですよ。何だってお前さんねえ、私なんざ話しに聞いて、何だか草双紙にでもあるように思っていました。木場の勝山様のお一人子のお嬢さんが、こうやって私等風情と、一所においでなさるんだもの、まったくですよ。