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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
慷慨ス北京ノ盧俊儀
遠ク貨物ヲ駄シテ郷地ヲ離ル
一心只強人ヲ捉エント要ス
那時方ニ志ヲ表サン
李固は首をさしのばして見ていたが、まっ青に顔色を変えて。
「ど、どうするんです大旦那。そ、それを……」
「お禁厭さ。十二輛の貨車の上に、間をおいて一旒ずつ立てて行くんだ」
「ひぇッ。いいんですか。そ、そんな、かえって盗賊を招ぶような真似をなすって」
「来るものかよ、盧俊儀と知れば――」
広言でなく、これは彼の自信だった。水滸の草賊、北京での噂も高いが、心ではつねに嗤っていたのである。
しかしその朝いらい、彼は家伝の一刀を腰に横たえ、棒は手に持って、ここを出た。そしてまず一日は無事だったが次の日のこと。青い海へでも入ったような原始林の道へかかると、怪鳥の啼き声を思わすような口笛がどこかで聞えた。
「そらッ、出て来たッ」
と、馭者や人夫らはみな車をとび降りて車の下に這い込んでしまう。元々、賃雇いで連れて来たこれらの雑人はぜひもない。だが、李固までが車の下でワナワナ慄えているざまに盧は腹立たしげにどなりつけた。
「たわけめ。きさまは主人がどんな人間かをこの年まで知らずに仕えてきたのか。