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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
また飛虎峪の激戦。
されば、すさまじいものだったが、結局、北京軍はついにさんざんに打ちやぶられてしまった。そして大刀聞達も、副将李成も、それぞれ、残兵の中に押し揉まれながら、まるで身一つのようなぶざまで逃げ帰って来た。以後、北京の関門に命からがら辿り着いた兵を数え入れても、発向の時の三分の一にさえ足らなかった。
「なんたることだ! これではまるで、殲滅に会ったも同様な惨敗にひとしいではないか」
梁中書は、驚きのあまり、床を踏み鳴らして、その弾みに、沓を飛ばした。沓は飛んで、報告のため、階下に畏服していた李成の顔に当って落ちた。
「どう仰せられても、面目はございません」と、李成は沓を拾って捧げながら――「このうえは、再度の早飛脚で朝廷のご急援を切に仰ぐこと。――次には、近くの各県に合力を下知せられること。――またここは、聞達が第二の新手をくりだしておりますから、一そうそれを強めるため、城壁にはさらに塁をかさね、砲石、踏弓、火箭、目つぶし、あらゆる防禦物を揃えて、守備に怠りないことです」
寄手の泊軍、宋江の指揮下では、もう短兵急な猛攻は止めていた。東、西、北の三門はかたい包囲下においていたが、わざと南大門の一方だけはあけておき、自由に往来させている。