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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
と、頭陀袋から智真長老の手紙を取出して、役僧に渡し、一堂に座してその沙汰を待った。
「はて。五台山の智真長老も、えらい者を、当山へさし向けてきたもんじゃな」
大相国寺の智清は、手紙の中にある智深の経歴を読んで、ちょっと、うんざり顔だったが、また禅家特有なとでもいうか、へんな興味も覚えぬではなかった。
坊主の前身には、ずいぶん変ったのもあるが、智深のごときはまず珍らしい。――渭州経略府の憲兵あがり。侠気はあるが、喧嘩好き、酒好き。しかも人殺しの前科のため、剃髪した男だとある。
「おそらくは、五台山でも持て余した者だろうが、智真はわしの昔からの道友、置けぬといったら、気が小さい禅家よと、嘲うであろうし。……さて、どうしたものか」
全役僧を集めて、衆議にかけると。
「来訪の一行脚は、どう見ても出家とは受けとれません。なんとも魁偉な人物です」
「第一人相もよろしくない。どことなく凄味がある。また、知客が迎えたとき、禅家の作法もよくわきまえぬものか、たずさえている香具、座具、袈裟などの使い方にも、まごまごしおった」
「ていよく、お断りあったほうが、当山のためかと存じますが」