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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

七、八百の手下どもはまったく堪能したかたちだった。

しかしその後は、刀、弓、箭、戟、矛などを寨門に植え並べ、陸上の陣稽古、水上における舟いくさの教練など、いや朝夕の規律まで、前よりもはるかに厳しい。

けれど、晁蓋の大人の風、呉用の学識、公孫勝や林冲の英気などが、自然、下風に映るものか、不平などは見たくも見られない。それどころか、一種の和楽が醸し出され、それが一だん男仲間の結束と侠を磨き合った。

まもなく、灰色の外洋に冬が来る。

霜白き芦荻には、舟が氷りつき、鴻雁の声も、しきりだった。

「都に残した妻はどうしているだろう?」

ふと、雁の渡るを見ても、林冲は独り腸をかきむしられた。或るとき、その想いを呉用や晁蓋に語ると、もっともだと同情して、さっそく人を派して山寨に迎え取らせることにした。ここの山蔭の一端には、先に呼びよせた阮兄弟の老母や妻子を初め、子供だけの一部落もあったらしい。

ところが、二た月ほど費やして、やがて帰ってきた使いの話によると、林冲の妻は、その後も、高大臣父子の迫害やら、無態な縁組みに迫られて、ついに自害して果て、彼女の父親も、首を縊って死んだという報告だった。