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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
――そして程なく、武松の身柄は、この地からさらに遠い、
恩州牢城送り、
となって、即日、腰グサリ首かせの身を、二人の獄役人の手で押送されて行ったのだった。
「はてな、なんでわざわざ、そんな遠くへ俺を持って行って処刑するのか?」
武松には変なと疑われても、総督側にすれば、いうまでもない外聞のためだったろう。蒋門神の人気は悪い。その無頼漢の肩持ちと世間に見えては、張軍閥一家の威信にかかわる。
果たせるかな、その底意は、孟州を離れて三日目の街道で、はや兆しが見えた。――途中から後になり先になりして、護送の武松を尾けて来るうさん臭い三名の剣客風の男があった。
「……ははあん、おいでなすったな」
いくら鈍な武松にでも、その三名の殺気満々な眼つきには、すぐこう気づかずにいられないものがある。
その夕、飛雲浦の江頭にかかった時である。武松はとつぜん駄々ッ子みたいに体を揉んで屈まッた。
「も、もう、いけねえ、こらえられねえ……お役人、小便がしたくなった。ちょっと、手錠だけゆるめてくれ」
「なに、尿がしたいと」
護送役人は目くばせしあった。時はたそがれ、所は蕭々たる江のほとり。