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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

まだ女ずれもしてない美丈夫で、身のたけ七尺ほど、紅花頭巾に緑戦袍を着、金革の帯には長やかな太刀一と腰、にこやかに卓へ寄るなり、

「友達をつれて来たよ。ご亭主、誂えといた料理は出来ているだろうね」

「へい、へい。羊も鶏も、今日のはまた、すばらしい上肉でございますから、どうぞまあ、ごゆっくりと」

彼らの卓は、たちまち、次々と運び出される佳肴で埋まった。うま煮、焼肉、丸揚げ、菜汁、果盆。こなたの武行者が、ちらちら横目で見たぐらいでは、品数もかぞえきれない。

「おもしろくねえな……。おい亭主、ここへもう一本」

「へい、どぶろくのお代りで」

「ばかアいえ、そっちにある青花模様の酒甕のを、おれにも二角ほど貰おうか」

「これはいけません」

「なぜ、いけねえ?」

「だって、こちらの若旦那様からお預かりしといたのを、封を切ったわけでして」

「嘘をいえ、肉の一片も俺には出さねえところを見ると、俺を銭なしのうらぶれ行者と思やがって、出し惜しみをしていやがるな」

「困りますね、言いがかりをおつけなすッちゃ。そんなに、喉が鳴るなら、よそへ行って、どんな上甕の飛び切りでもなんでも飲むがいい」

「なにを」