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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「おうっ、主の史進か。このほうは県城の県尉であるぞ。汝の手で、賊をからめて突き出せばよし、さもなければ」
「まあまあ、お静かに願おう。せっかく、賊の三頭目を招いて、うまく酔いつぶさせようとしているところへ」
「では、賊と汝とは、同腹ではないと申すか」
「笑わしちゃあいけません。大口を叩くようだが史家村一の旧家、親代々からの大名主だ。山賊ばらとぐるになって、なんの徳があろう。それよりは、三千貫の賞金は下さるでしょうな」
「もとよりそれは公布にあること。ただし即座にここで突き出せばだが」
「だからよ、少し鳴りをひそめて、ここを遠巻きにして待っていておくんなさい。酒を飲ませて奴らを数珠つなぎに引ッ縛り、そのうえで、ここの門を開けますから」
史進は、もとの宴へ帰ってくると、家人若者に命じて、にわかに、家蔵にある金銀財宝の目ぼしい物をまとめさせ、女子供からそれらの荷物までを、数十人の屈強に担わせた。そして屋後の藁ぶき小屋へ、火をかけろといいつけた。
驚いた三頭目は、
「な、なんでこのお屋敷を焼き払うので? ……まさか、われらを庇うためではございますまいな」
「いや、身の潔白をしめすためだ。