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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「女は女同士がよかろう」
と、朝奉は彼女らを伴って奥へみちびき、自分の夫人、側室、そして侍女たちと一しょに遊ばせ、さらに元の席へ返って来て、
「ひとつ、乾杯しましょう」
と、たいしたご機嫌ぶりだった。その歓談のあいだに、孫立は隣の席の祝龍へ、ちょっと、こんなふうに当ってみた。
「さすが、磐石なお城ですな。敵が攻めているのかいないのか、まったく何もわかりません」
「でも梁山泊の寄手は、昼夜、歯がみして、どこかを突ッついているんですがね」
「及びもつきますまい。しょせん、やつらの力では」
「しかし勝敗は逆睹できません。また一気に勝負もつけかねますよ。這奴らは逃げるだんになれば、水を渡ってあの蕭々たる芦の彼方へ隠れこんでしまうでしょうから」
「いやそのときには、官でも水軍を押し出しますよ。不肖が※(「軍+おおざと」、第4水準2-90-23)州に駐留しているからは」
「よろしくどうぞ」
かくて、三日目のことだった。城楼や城門でただならぬ動揺めきがわき揚がったとおもうと、鉄甲、花やかな味方一騎が、
「宋江みずから、一軍をひきいて、近々と攻めよせてまいりましたぞ」
と、城庭を駆け巡り駆け巡り、報じていた。