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にっき
日記
宮本 百合子
27 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页
十月八日
十月九日
一日中大バタバタ。仁王のような男、二十ヶのコモ包みをこしらえ上げる、やすやすと。石炭おき場をこわしてヌキとする。
御飯を炊きはじめたら、やっと一週間ぶりの雨が上った。荷作りのためにも仕合わせ。
きょうも司厨。一日中台所。風呂をたく。台所のテーブルで用事の合間に「白鯨」をよむ。この作者の古風な雄渾さも分る。しかし「風に散りぬ」第三巻をよみ終ったときと同じに、何故これらの文学は、人間情熱の当途ない消散の過程をこういう風に追求するかと思う。「風に散りぬ」の作者が、もうあとかかないと云ったのは本当の心もちだと思う。例えばバトラーのような人物の終りがああなのなら、作者は新しい人生を樹立しない以上、書くこともないにちがいない。題材ではない、問題は。
I'm through の感じだろうから。
〔欄外に〕久しぶりの晴天
十月九日(月曜)
けさは、のんびりおきる。じっとして暮すつもりだったのに、家中あんまりガタガタで辛棒し切れなくなったので、急に思い立ち馬崎(手伝の男)のいるうちに、こっちの部屋(二階)テーブルとベッドちゃんとして、夜眠る前にはせめて日記でも落付いて書くようにしようと思い立ち、働きはじめる。