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にっき
日記
宮本 百合子
27 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页
三月九日
つき合いかねる。こまったもの也。
小都会のこういうエクセントリックな女性、石森の忠子にしても。文化の歪みから生れたもの。
○大岡山の家疎開する由、寿も△も月末までしかいられなくなった。
二階にいると、となりの石だたみの道に馬力の馬のパカパカパカと方向をかえる乱れたひづめの音がした。村瀬さんの荷物つみ出し。子供のとき長さんの大石どうろうを夜中もって来たさわぎを思い出した。
三月九日(木曜)
○太郎、きょうから休学。開成山の小学にうつることになる。亢奮している、「うれしいけどやっぱり東京にいたくもある」本心の言葉だ。咲挨拶に行って来る。太郎午後二時までやって、先生が太郎の疎開を告げ「さようならね」と先生云った由。中條太郎君のお母様という手紙もって来る。あけたら就学通告書が入っている。「将来太郎君がよき紳士となられたとき、よい記念となるでしょうと存じ云々」すこしはり合のある子を次々と送り出す先生の心が感じられ、やはり子供を扱う先生の心はちがうと思った。先生にもいじらしいところあり。わが子のへその緒を大事にしまっておく母のような。茂木先生という人に暖さを感じた。