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にっき
日記
宮本 百合子
27 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页
一月八日
「二三分熱を出してるが、もうきょうはいい、パンがきょうから入るから」足袋もはかないで出ている、扉の蝶番のところから見えた本をとってかえる。〔五字分空白〕眼つきのいやさ。
シュアンの親玉たる侯爵とその周囲(卑小さ、利慾、誰でも年金をほしがっている)と、無智で野蛮で狂信を政治闘争に利用されている木菟党たるブルターニュの農民の特質がなかなか立派にかけている。(ここにスペインとの類似、一向宗との連関)これをよむと、ディケンズの「二都物語」などをよみかえして見る必要がある。バルザックは、こういう紛糾したフランスの時代を、十分の血肉でつかんでいる。こういう錯綜した関係の中をかきわけて行くのはバルザックの得意のところである。この小説の農民のかきかたでバルザックの農民というものの理解が察しられる。宗教というものについても。
〔欄外に〕出勤
フルマーノフの農民の解剖。この小説中のブリタニーの農民。
一月八日(土曜)
きのう、くたびれた。気がはって。
昨夜ふとした話のはずみで、Kが人間のつやとしての色気を失いすぎていることを話した。エゴイスティックな人間ほど早く其を失うということも。