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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

十月三十一日

ひる近く出てみたら箱に一匹死んでいる、昨夜の予感当った。雄だけ三匹のこった。柿の下に埋める。

〔欄外に〕

久しぶりで一日在宅、いいこころもち。

十一月三日に国、開成山へゆくよし。

荷物のことで宮本へかけたがかからず。

十月三十一日(火曜)

第十回。本件に対する法理的情理的考察。法の根本精神は、社会生活の福祉と文化の向上を目ざしている。治安維持法にとわれている対象は、根本においてそのことをこそ目ざしているものである、本質的に法の精神に相反したものではない。又治維法が犯罪の要素として列挙している私有財産の廃止は、事実上画一的廃止を目ざしていない政党の目的に当てはまらないし、政体というものは歴史のなかで様々に可動なものであることを、日本の現実が示している。

スパイ査問の事は、スパイの使用者の当時における極度の甚しさによって生じたものであって、その徳義上の責任は、使用者にあると信じるものであります。

裁判長の訊問にうつり「経歴については事実か」「松山高校から帝大を出たことなどは事実ですが、その他の研究会などについてはさしひかえます」「昭和六年六月十八日入党したというのはどうか、これも答えられないか」