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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

五月二十二日

五月二十三日

咲「安心したら、なおかえりたいようなところもあるわ」自分、カンの中に瀬戸もの鍋類つめた二ヶ。埋められない由、すぐふしょくしてしまう由。あわれなことだ。すこし疲れた。(眠不足で)

五月二十二日(月曜)

歯いしゃへ午後一時すぎ行こうとしていたら、台所で「マアあよかったこと、どうもありがとう」と咲のいかにもうれしそうな声がする。おやと思っていると「アッコオバチャン、解除ですって!」とんで来る。よかった。それにつけても、又何人かの命が、この平和にかかっているのだと思って、しんとした気持がつよい。

この頃の東京の平和、生きている我々の一日の安穏のために、いくつかの命が失われつつ、謂わば人柱の上に、日々の平安が立てられている。無駄にしては相すまない平和である。

生きてゆくものの強慾さをも思う。

〔欄外に〕

警報解除

逓信省より国府津の家かしてくれとの交渉、村役所からの手紙、国ことわることにして文案作っている。

五月二十三日(火曜)

テイ信省の役人来、早いこと。いろいろの話から国貸すことにした由。それが自然だろう。箇人より却ってよい。明日そちらの人とこちらの二人で行くとのこと。