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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

十一月二十六日

この川を辿り、この谷を辿るも同じ海へという意義がついてゆけないらしい。

〔欄外に〕

伊豆七島の上空にあり、北上中なり、と。

十一時半警報、三四十分のうちに空襲にならなければ行かなければならないと思っていると一時に電話で二十八日に延期になったと知らされ、同時に解除、又開廷となり、あわてて靴はき鉄カブトもってゆく。閉廷五時なり。

十一月二十六日(日曜)

風のない秋の日、昨夜の雨で門内の石が美しくしめって、瀧川さんが落葉をすっかり掃いたので、いかにもすがすがしい。ひるをたべて出かける、というとき(瀧が)又ウーとなりはじめた。殆ど一時。警戒警報(京浜上空に敵一キアリ)、第二回のブザで「伊豆半島上空ニ認められたる飛行機は友軍キなること判明」おどろいた。どこの国でもこの程度なものかしら。或はそうかもしれず。三時解除。瀧家へ行く。家ではすっかり引越の仕度している由。国からは「家のことは八方奔走中、可及的速度でまとめたく云々」とハガキが来ている。

チビ退院させる、すっかりやせて元気なくなって、へたばって繃※している。可哀そうに。大分手入れをしてやらなくてはならない。