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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

五月二十六日

「御褒美がなくてお気の毒さま」「ひどくはれたね、そんなにはれる位じゃ随分痛かったろう、よくこらえたね」

〔欄外に〕

咲、もうそろそろ子供の顔が見たくて、と切ない顔する。「もうもたなくなって来た」「そうらしい、ね、くんちゃんと子供と、どっちがもたない? 白状しなさい」「そりゃ子供ね、」「うーむ」「だって」と咲うまいことを云う「お父ちゃま大きいでしょう、子供は小さいから。それだけちょいちょい見なけりゃあ」大笑い也、「じゃ僕も小さくなろう、少くとも健之助より小さくならなくちゃあ」咲うまく遁辞見つけ、それが可笑しくて大いに笑う。

五月二十六日(金曜)

けさは胡瓜の苗を植えようと早くおきて、石だたみの前にさくをつくり植える。

起きぬけに、「お父ちゃまは大きいから、其だけよくもつ」を思い出して、ひとり笑う。そんなことを云ったら、宮は細菌的だと思って。手紙にかいてやったら、やっぱり笑うことだろう。

咲国、自分、春、六月十三日をくり上げて墓参、丸屋へゆく。

〔欄外に〕

『スペイン文化史』ぬけたところのあるかきかただが、面白くもある。スペインにおけるジェスイットの連中について。