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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

六月十五日

電燈の光の下で顔色すこし上気して見え、表情も所謂活々しているが、いく分亢奮の気味でこころから気の毒に思う。云うなりにならざるを得ない点を。

「お疲れになったでしょう」「うむ八度ばかり出た」「きのう、十時半に分ったのなら、そのときかけてくれたらねエ」「あれも僕が云ったから、かけたんだよ、さもないとかけなかったろう」「マア、いろいろあってね、コンモンセンスで判断出来ないような風になって来るから、一時は不便をして、マアいろいろタクチカがあるから」

しかし気の毒だ。

○帰り森長さんによる、二百円とシャツ地(45. ――)おいて来る。公判を今までひっぱっておくのは不面目というわけなのだろうとのこと。八日に出廷しなかったので、それからあと、裁判長が巣鴨へ行って所長に会ったりした由。

病人を公判にひっぱり出したということになってはいけないというので、舎房をかえたのだろう、小細工。

○夕方六時すこし前サイレンが鳴り、警報発令。サイレンで急を感じた。

六月十五日(木曜)

昨夜いろいろ仕度して、けさぶじに飯たべられたことをうれしく思う。寿がもし来ていなかったら、自分たった一人でどうしたろう。