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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

七月七日

庶民的でなくて、飽きの来るセット式ハイカラーさが漲っている。葱をぶら下げて出入りなどすることが出来にくいように出来ている。アパートメント生活がもっと一般化して、もっとしゃんとするには やはりそれとしての歴史が入用なのでしょうね。現在のところではとかく長屋式、お目つけ式なものが混こぜになっている。江井のやりかたなど見るとよく分って興味があります。営業だからね。

今月もきょうで終り。二日に四七日があり十日が五七日で御法事があります。百ヵ日まではこれで一段落ということになりましょう。今月の手紙はこれで終りにいたします。お体を呉々お大事に。誰でもこう急に暑くなると閉口ですから。隆ちゃんは午前中珍しく家にいます。では又

七月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕

七月四日  第三十四信

毎年こんなに東海道山陽本線が梅雨期に度々不通になったでしょうか、ラジオのニュースをきいているとびっくりするほど今年はあっちこっち不通です。「雨並に水に関するニュース」という題で放送している。

六日

きょうはお父さんおかくれになってから丁度一ヵ月目になります。出征する人、送る人ぞろぞろと前の通りを通っている。